日本脚本アーカイブス推進コンソーシアム

目次

  1. 日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアムとは?
  2. デジタル脚本アーカイブズ「市川森一の世界」の試み
  3. 謝辞

1.日本脚本アーカイブス推進コンソーシアム とは…?

『テレビ文化は、多くの人々の「思い出」に根ざしている。
脚本アーカイブズ活動は、多くの人々の人生をより豊かなものにする「思い出」の発掘作業である――』

(脚本アーカイブズの提唱者・市川森一氏の言葉)

【 脚本・台本の「運命」】

放送制作に欠かせない構成台本やドラマ脚本。それは、放送作家がたとえ骨身を削り仕上げたものであっても、現場で使い終れば廃棄されていくのがこれまでの常でした。今、散逸・消失の危機にある過去の放送脚本・台本の「保存」のあり方を検討し実践することが、極めて大切な時期になっています。

日本放送作家協会の調査では、巷間に残存している放送台本は少なくとも13万冊以上にものぼります。特に1980年以前のものは放送局でも番組保存があまりなく、残されている脚本・台本自体が後世に継承すべき貴重な文化資料にもなっているのです。

【「文化資産」保存の取り組みへ】

こうした状況の中で、当時の日本作家協会理事長・市川森一氏は、脚本・台本の収集・保存の実践母体として「日本脚本アーカイブズ」を提唱し立ち上げました。

昨年12月の市川氏逝去の後、それを継続して発展させるために、放送作家・放送局・関連機関・評論家・研究者などが結集して「一般社団法人日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアム」を設立させ、現在そのアーカイブ活動に取り組んでいます。脚本・台本をどう収集するのか。どこに、どのように保存し、またそれをどう公開していくか等、課題の解消に向けて様々な検討と実践が行われています。

【本コンソーシアム設立までの経緯】

2003年 国会・総務委員会にて 市川森一氏が「脚本アーカイブズ活動の必要性」を提言。
2005年

日本放送作家協会・日本脚本アーカイブズ特別委員会発足。
「日本脚本アーカイブズ」(足立区中央図書館・学びピア内)設置。以降、文化庁の委託調査・研究事業として活動(脚本・台本の収集・管理、脚本展・シンポジウム等の開催)。
2012年3月までにおよそ5万冊の脚本・台本を寄贈により収集済。

2011年

文化庁と国立国会図書館が「我が国の貴重な資料の次世代への確実な継承」の協定締結。
「放送脚本・台本が次世代に継承すべき文化資産」と明言される。

2012年

「日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアム」(代表理事・山田太一)設立。


2.デジタル脚本アーカイブズの試み

【市川森一の世界とは?】

この度、脚本のデジタル公開のトライアルとして、市川森一氏の脚本100本全文を公開する期間限定サイト(12月~来年3月・予定)をオープンさせました。これは、多くの方に市川氏の作品世界にふれていただくことで、脚本アーカイブズの意義を広くアピールし、またデジタルアーカイブの可能性を検証することを目的としています。

現役の脚本家のままこの世を去った市川氏は、デビュー作の「怪獣ブースカ」から遺作となった昨年放送の「蝶々さん」まで、45年間に800本以上(約200タイトル)のTVドラマ・舞台・映画の脚本を手がけてきました。1970年代から80年代にかけ「シナリオ文学」という言葉が使われた脚本家のひとりであり、まさに確固たる自分の作品世界を広げてきた作家といえます。

また放送作家協会理事長として、散逸の危機にある脚本・台本の保存を提唱し、収集母体である「日本脚本アーカイブズ」を立ち上げ、その中心として誠心誠意の取り組みをしてきた人でした。本コンソーシアムはその遺志を受け継ぎ、脚本アーカイブズの進展のためにこのサイトの運営を行っております。

当サイトは文化庁からの委託調査・研究により作成されました。


謝辞

長崎県諫早市立諫早図書館から多くの貴重な資料をお借りしました。そのほか、原作・共著の使用許可をくださった作家・漫画家の先生方、脚本や写真のサイト掲載にご協力くださった、放送局・制作会社・俳優の皆様に、改めて心より感謝いたします。

サイトの企画制作は、東京大学情報学環「放送脚本デジタル化研究会」との共同研究により、公益財団法人放送文化基金より後援して頂いております。有難うございました。


お問い合わせ

一般社団法人 日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアム

担当:石橋映里 三原治
〒102-0081 東京都千代田区四番町4-9 東越伯鷹ビル5階
Tel:03-5210-7029 URL:http://www.nkac.jp/ Email:nkac@hosakkyo.jp